インプラント治療に興味はあるけれど、手術の「痛み」が怖くて一歩踏み出せない。
あなたも、そんな風に感じていませんか?
「手術中はずっと痛いのかな…」
「麻酔が切れた後、どれくらい痛みが続くんだろう…」
「仕事や日常生活に影響は出ないかな?」
そのお気持ち、毎日患者さんと向き合っている私には痛いほどよく分かります。
こんにちは。
インプラント治療に20年以上携わり、年間200症例以上を手掛けている歯科医師です。
先に結論からお伝えします。
現代のインプラント治療において、痛みは適切にコントロールできます。
正しい知識と準備があれば、あなたが想像しているような強い痛みを感じることは、ほとんどありません。
この記事では、長年の経験を持つ歯科医師の視点から、インプラント治療の「痛み」に関するリアルな情報を包み隠さずお伝えします。
手術中から術後までの痛みの経過、痛みを和らげる具体的な方法まで、あなたの不安が安心に変わるよう、一つひとつ丁寧に解説していきます。
この記事を読み終える頃には、「なんだ、それなら大丈夫そう」と思っていただけるはずです。
さあ、一緒に痛みの不安を解消していきましょう。
インプラントなら初芝駅南口にある歯科医院「ひきしょう歯科クリニック」
目次
インプラント手術中の痛みは?麻酔が効くから怖くない
まず、皆さんが最も心配される「手術中の痛み」についてです。
断言しますが、手術中に痛みを感じることは、まずありません。
なぜなら、手術の内容に合わせて最適な麻酔をしっかりと行うからです。
虫歯治療と同じ「局所麻酔」が基本
インプラント手術で基本となるのは「局所麻酔」です。
これは、虫歯の治療や親知らずの抜歯などでも使われる、一般的な歯医者の麻酔と同じものです。
手術を行う部分の歯茎に注射をすることで、感覚を麻痺させ、痛みを感じなくさせます。
もちろん、意識ははっきりしているので、機械の音や振動を感じることはありますが、痛みそのものはありません。
多くの患者さんは「思ったより全然平気だった」とおっしゃいますよ。
不安が強い方には「静脈内鎮静法」という選択肢も
「どうしても怖い」「音や雰囲気が苦手」という方には、「静脈内鎮静法(じょうみゃくないちんせいほう)」という素晴らしい選択肢があります。
これは、点滴で鎮静剤を投与する方法で、まるでうたた寝をしているような、非常にリラックスした状態で手術を受けることができます。
ウトウトしている間に手術が終わり、気づいたときには全て完了している、という感覚です。
健忘効果もあるため、手術中のことをほとんど覚えていない方が多いのも特徴です。
全身麻酔のように意識が完全になくなるわけではなく、入院も不要で日帰りが可能です。
私のクリニックでも、治療への不安が強い患者さんのほとんどがこの方法を選ばれます。
「痛みが怖い」という理由で治療を諦める必要は全くないのです。
【本番】インプラント手術後の痛みのピークと期間
手術中の痛みの心配がなくなったら、次に気になるのは「術後の痛み」ですよね。
ここからは、麻酔が切れた後の痛みのリアルな経過について、時系列で解説します。
痛みのピークは手術当日~3日目
インプラント手術後の痛みのピークは、一般的に手術当日〜術後3日目くらいまでです。
麻酔が切れてくると、ジンジンとした鈍い痛みを感じ始めます。
ただし、これは「我慢できないほどの激痛」というわけではありません。
ほとんどの場合、クリニックから処方される痛み止めを飲めば、十分にコントロールできるレベルの痛みです。
痛み止めは、痛くなってから飲むのではなく、麻酔が切れる前に先回りして飲んでおくと、より楽に過ごせますよ。
術後1週間で痛みはほとんどなくなる
痛みのピークである3日間を過ぎると、痛みは急速に和らいでいきます。
術後1週間も経つ頃には、痛み止めを飲まなくても平気なくらいに落ち着くことがほとんどです。
痛みと同時に出ていた腫れも、術後2〜3日目をピークに徐々に引いていきます。
術後1週間〜10日後に行う抜糸の頃には、軽い違和感が残る程度で、日常生活に支障はほとんどなくなっているでしょう。
こんな痛みは要注意!すぐに歯科医へ連絡を
ほとんどの場合は順調に回復しますが、ごく稀にトラブルが起きているサインとして痛みが続くことがあります。
以下のような症状が見られた場合は、我慢せずにすぐに手術を受けた歯科医院へ連絡してください。
- 処方された痛み止めを飲んでも全く効かない激しい痛み
- 日が経つにつれて、痛みがどんどん強くなる
- 1〜2週間以上経っても、強い痛みが全く引かない
- 歯茎がパンパンに腫れて膿が出ている
これらの症状は、細菌感染やインプラント周囲の炎症などが原因の可能性があります。
早期に対処することが大切ですので、遠慮なく相談しましょう。
インプラント治療で痛みが出やすいケースとは?
インプラント後の痛みの出方には個人差がありますが、一般的に痛みや腫れが強く出やすいとされるケースがいくつかあります。
ご自身の治療が当てはまるか、事前に確認しておくと心構えができます。
骨を増やす処置(骨造成)を伴う場合
インプラントを埋め込むための顎の骨の量が足りない場合、「骨造成」という骨を増やすための処置を同時に行うことがあります。
GBR(骨誘導再生法)やサイナスリフトといった手術がこれにあたります。
これらの処置を行うと、手術の範囲が広がり、体への負担も少し大きくなるため、通常のインプラント手術のみの場合よりも痛みや腫れが強く出る傾向があります。
埋め込む本数が多い・手術時間が長い場合
当然ながら、埋め込むインプラントの本数が多かったり、手術時間が長くなったりすると、その分お口の中の傷も大きくなります。
体への侵襲(しんしゅう:負担のこと)が大きくなるため、術後の痛みや腫れも出やすくなります。
抜歯と同時にインプラントを入れる場合
抜歯をしたその日のうちにインプラントを埋め込む「抜歯即時インプラント」という方法があります。
手術が一度で済むというメリットがありますが、抜歯による傷とインプラントの傷が合わさるため、痛みが出やすいケースの一つです。
ただし、これらのケースに当てはまるからといって、必ずしも強い痛みが出るわけではありません。
あくまで「傾向がある」というだけで、やはり処方される痛み止めでコントロールできる範囲であることがほとんどですので、過度に心配しすぎないでくださいね。
歯科医が教える!インプラント後の痛みを和らげる5つのセルフケア
術後の痛みを最小限に抑え、回復を早めるためには、ご自身でのセルフケアが非常に重要になります。
歯科医師の指示を守り、以下の5つのポイントをぜひ実践してください。
- 処方された薬は指示通りに飲む
痛み止めはもちろんですが、特に「抗生物質」は必ず処方された分を飲み切ってください。抗生物質は感染を防ぐための非常に重要なお薬です。痛みがないからといって自己判断でやめてしまうのは絶対にNGです。 - 手術当日は安静に過ごす
血行が良くなると、痛みや出血の原因になります。手術当日は、激しい運動、長時間の入浴、飲酒などは避け、できるだけ安静に過ごしましょう。 - 患部を優しく冷やす
腫れや痛みがある場合は、濡れタオルや冷却シートなどで、頬の外側から優しく冷やすと楽になります。ただし、氷などで直接冷やしすぎると血行が悪くなり、かえって治りを遅らせてしまうので注意してください。 - 食事は柔らかいものを選ぶ
手術した部分に刺激を与えないよう、おかゆやスープ、ヨーグルト、ゼリーなど、柔らかくて栄養のあるものを選びましょう。硬いもの、熱すぎるもの、香辛料などの刺激物は避けてください。 - 禁煙を徹底する
タバコは絶対にNGです。喫煙は血管を収縮させて血行を悪くし、傷の治りを著しく遅らせます。インプラントと骨が結合するのを妨げ、感染のリスクも高めるため、少なくとも治療期間中は禁煙を強くお勧めします。
まとめ:インプラントの痛みはコントロール可能!信頼できる歯科医に相談しよう
今回は、インプラント治療の「痛み」について、歯科医師の立場から詳しく解説しました。
最後に、この記事の要点を振り返ってみましょう。
- 手術中の痛みは、麻酔がしっかり効くので心配ない。
- 不安が強い人には「静脈内鎮静法」という選択肢がある。
- 術後の痛みのピークは術後3日目までで、1週間ほどで落ち着く。
- 痛みは処方される痛み止めで十分にコントロールできる。
- 術後のセルフケアを徹底することが、痛みを和らげ回復を早める鍵。
インプラント治療は、失った歯の機能と見た目を取り戻せる、非常に優れた治療法です。
その素晴らしさを、「痛みが怖い」という理由だけで諦めてしまうのは、あまりにもったいないことです。
大切なのは、あなたの不安に真摯に耳を傾け、痛みを最小限にするための技術と配慮を持った、信頼できる歯科医を見つけることです。
まずは勇気を出して、カウンセリングに足を運んでみてください。
そして、あなたが感じている不安や疑問を、正直に歯科医師にぶつけてみましょう。
その対話こそが、あなたの不安を解消し、安心して治療へ進むための第一歩となるはずです。
Last Updated on 2025年10月28日 by watado
